今日は、美容室を開業する際の保健所の検査についてお話しします。美容室を作りオープンするには、必ず保健所の検査を受ける必要があります。これは法律で定められており、保健所の検査を経ずにオープンすると法律違反となってしまいます。
また、事前の確認を怠りスケジュールが合わない場合や、オープン前日に検査を行い、不合格が出たためにオープンできないという事態も発生しうるため、意外と多くの注意点が必要です。各項目の紹介と注意点についてもお話しできればと思います。
必要なもの
保健所検査を受ける際に準備が必要になるものを一覧でご紹介致します。
開設届け
最初に、美容室を開業するためには開設届を出すことが基本です。この書類は、各自治体の保健所で取り扱っており、直接取りに行くか、自治体のホームページからダウンロードすることが可能です。
一つ注意が必要なのが、特に大都市において、美容室を管轄している保健所が限られている場合があるため、最寄りの役所で対応できるとは限らないという事。
例えば、大阪市の場合、中央区役所でしか手続きができないことがあります。弊社の店舗は浪速区という場所にあるのですが浪速区役所では手続きできません。そのため、美容室の物件が決まったら、まずは電話で最寄りの役所に確認を取り、美容室開業の意向を伝え、手続きの窓口がどこにあるかを聞いてください。その情報を基に、担当の役所へと足を運ぶことになります。
構造設備の概要、平面図
美容室の開業の申請には構造設備の概要を記載したものや、平面図が必要です。構造設備の届けでに関してもフォーマットが準備されています。床の素材は何か?採光の方法や面積は規定以下になっていないか。その辺りが確認される書類です。
平面図は内装業者が作成してくれれば、そのまま提出することができます。また、手書きでも問題ありません。
手書きの場合は、「ここからここまで何メートル」といった具体的な寸法を記入して作成します。時には、平面図なしで内装業者と口頭で打ち合わせを行いながら現場で作業を進めることもあります。これは比較的まれなケースでじゃありますが、個人の公務店や知り合いの内装業者に依頼した際に平面図なしで進めることがある場合、自分で平面図を書く必要が出てくるケースもあります。
一つ注意いただきたいのは、待合のスペースと作業スペースは仕切られていないといけない。等の基準が設けられている地域があります。独自のルール等も満たしているか、事前に確認をとってください。
平面図には汚物箱、消毒、換気などの設備はどこにあるかの記載も必要になりますが、現地で担当の方に相談しながら記載することも可能ですので不安に思う必要はありません。
診断書
美容室を開業する際には、医師の診断書が必要になります。この診断書は、結核や伝染性皮膚病がないことを証明するものです。診断書を取得する経験は、美容師免許を取得した時や新しい職場に就いた時など、ずいぶん前のことである人も多いかと思います。基本的には診断書を持参して病院に行く形になります。
診断書の料金については、病院によって大きく異なるので注意が必要です。一部の病院では8,000円や9,000円と高額な料金を請求することがありますが、実は1,000円程度で行ってくれるところもあります。料金が高い場合、しっかりとした検査を行ってくれることもありますが、安価な場合は簡単な診断で十分です。正直開業のために必要な診断書ですのでしっかりした検査は必要ありません。
ですから、診断書を取得する際は、周囲の知人にどこで診断書を取得したのか、費用が安い病院を知らないか尋ねてみると良いでしょう。自分の周囲で情報を集めて、適切な場所で診断書を取得してください。
登記簿
個人ではなく会社で開業届を出す場合には、登記簿が必要になります。これも事前に管轄の法務局等に行って取得する必要があります。
美容師免許
美容師免許も開業には必要です。一人で開業する場合でも、自分自身の美容師免許が必要になります。
従業員を雇用して2名以上でやる場合には合わせて管理美容師の免許も必要になります。免許の提出には、原本が必要な場合とコピーで良い場合の2種類があり、管轄する役所によって異なります。
例えば、大阪市で、難波の管轄のの中央区役所であれば、免許の原本を持っていけばその場でコピーを取ってもらえます。
しかし、吹田市では、事前にコピーしたものを準備しておくよう求められることもあります。
知らずに原本のみを持っていけば、コピーしに行って来いと言われることもあるため、コンビニまで走る必要が出てくることもあります。
原本が必要かコピーが必要かは、事前に確認しておくことをお勧めします。
手数料
また、開業には費用も必要です。手数料として16,000円程度が必要になります。これは保健所の審査や検査のための費用です。さらに、個人事業主から株式会社への切り替えがある場合、同じ人が運営していても、再度検査を受ける必要があり、この変更時も手数料が発生し、手続きが増える面倒な一面もあります
消毒器具設備
消毒の機械、設備についてですが、弊社の店舗のある名古屋エリアのように、消毒の機械を設置することが絶対条件となっているケースもあります。一方で、大阪や博多では、エタノールを使用した消毒で対応可能で、機械を使わない方法でも承認されることがあります。地域によって消毒方法の要件が異なるため、開業予定の地域の規定を事前に確認することが重要です。
ゴミ箱は一つでは足りない
基本的にはゴミを捨てる用と、毛髪を捨てる用は分けなくてはならず、ふた付きのものが必要になります。
自治体によって違う
このように、自治体によって保健所の検査内容が大きく異なることは、運営の難しさの一因でもあります。今までの経験上、博多は検査が厳しく、セット面や鏡、セット椅子が全て揃っていないと検査が行えないとされています。検査終了証を受け取らないと営業開始ができないため、非常に厳格です。
一方、大阪では少し柔軟な対応が見られます。例えば、鏡が設置されていれば、セット椅子がまだ届いていなくても「ここで施術を行う」と認識されれば、その場で仮の証明書を発行してくれ、検査が終わるとすぐに営業が可能になります。
さらに、セット椅子などの設備が最後の段階で入ることが多く、準備が完了してから実際に営業を開始するまでに時間がかかることがあります。その間にも家賃が発生してしまうため、保健所との交渉で検査終了証の発行を早めてもらえる場合もあるので、どの曜日に行けばスムーズに手続きが進むかなど、事前に確認しておくべきです。
検査の流れ
事前に提出する解説届や書類の日程は自治体によって異なりますが、検査は比較的短時間で終わることが多いです。通常、30分程度で検査は完了します。保健所から指示された消毒設備やゴミ箱、換気扇の位置など、設備の配置について事前に伝えておくのですが、これらの設備が適切に整っていれば、検査で問題はほぼありません。
検査では、光の量もチェックされますが、通常の視認が可能な程度であれば問題なく相当暗い照明にしなければ、ほぼ大丈夫です。大きなトラブルを避けるためには、特に消毒機械のような重要な設備の必要性について事前に把握しておくことが重要です。これが不足しているとすぐに準備ができないので、オープンに大きな影響が出ることがあります。
必要な物で小さなものの多くは100円ショップやドラッグストアで簡単に調達できるため、急な要求にも対応可能です。ただし、重要な設備は事前に確認しておくべきです。早めに保健所を訪れ、必要な物や注意点を確認しておくことで、スムーズに検査を迎えることができます。このように、早期の事前確認を徹底することが、問題を防ぐ鍵となります。
日程調整
日程調整は、開業準備において非常に重要です。特に保健所の検査は、時に予約が集中し、希望する日に来てもらえないことがあります。開業が重なる時期には、予約が埋まってしまうこともあり、検査日が後ろにずれるとオープン日もそれに伴って遅れることがあります。
そのため、物件が決まったらすぐに保健所に行き、開設届や必要書類の準備についての情報を得ること、同時に、検査の日程を早めに押さえておくことで、開業の遅延を防ぐことが可能になります。この
ネイルサロン併設の注意
ネイルサービスを美容室に併設する場合、特に注意が必要です。美容室内でネイルを提供するには、美容師免許が必要になることがあります。そのため、計画段階で保健所に事前相談を行うことが重要です。
実際には、保健所によって対応が異なります。例えば、ネイルエリアを壁などで仕切って独立した空間として区分けすることで、「そのエリアは美容所ではない」と認められることがあります。この場合、ネイリストは美容師免許なしで業務を行うことができます。
しかし、このような区分けが認められないと、美容師免許がないネイリストが採用されていた場合、大きな問題となる可能性があります。そのため、ネイル併設を考える際は、工事が始まる前である事はもちろん、平面図を描く前やレイアウトを決める前に、保健所との確認を優先して行うべきです。これにより、将来的なトラブルを避けることができます。
まとめ
保健所に関する詳細な勉強は必要ありませんが、開業前に早めに確認することが重要です。これを心掛けておけば、特に問題は起こりにくいので、他の準備に時間を割いた方が良いでしょう。難しい書類もありますが、担当の方がサポートしてくださいますので安心ください。
今日は保健所の検査についてお話しました。これから美容室を開業される方は、ぜひこの情報を参考にしてください。
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