株式会社CLUTCHが掲げる港型経営。その根本にある考え方を紹介致します。一般的に理念やビジョン、使命にあたる部分、弊社では違った形で表現しています。内容含めその形もぜひご覧ください。
港型経営の根本にある考え方とは?
「最期にいい人生だったと思える決断を」これが弊社の企業理念に当たる考え方の根っこの部分です。
事業も仕事もプライベートでも様々な局面があります。いい事もあれば良くない事もある。時には間違った判断をしてしまう事もある。しかしそれらをひっくるめて最期に良かったと思える事。辛い経験があったとしても、あの経験があって良かったと思える事。それがゴールなのではないかと。
企業としても、経営者としてもこの基準で決断したい。さらに関わる皆様にも最期には良かったと思ってもらいたい。そのような関わりをしていきたい。と考えています。
経営者としての決断をする時も、全てこの基準に照らし合わせ判断しています。短期的な利益ではなくこの決断をする事で自分自身、そしてスタッフさんや関係者の皆様が最期に良かったと思える事につながっているのか。それとも遠ざかるのか。
今現時点で利益につながらないとしても、そのゴールに近づくならオッケー。利益につながったとしても遠のくならやらない。
例えば、スタッフの独立。美容室のよくない習慣として「妨害」する。そんな事もあります。お客様に伝達させないように、近くには出店できないように、さらには、ディーラー様やメーカー様との取引ができないようにまでしてしまうと。
この決断は、短期的にはお客様の流出が防げ利益に繋がるのかも知れない。しかしながら、経営者としての生き方的にはどうか。自社で貢献してくれたスタッフの将来を潰して人生の最期にそれで良かったと思える人がいるのか?
独立するスタッフさんの人生はどうなる?独立前に自社を選んでくれた事を後悔させるのではないか?他のお店に入り応援される状態で独立する道を選ぶべきだった。この会社にいた時間は間違っていたのではないか。
どう考えても誰も幸せにならない決断であり、弊社では絶対にしない決断です。
もう一つ。スタッフが自分から動き、学びたいと思うセミナーを見つけてきた。そのセミナーの内容を聞く限り売り上げに直結する内容ではない。そんな時どうするか。
もちろん日頃からの仕事に取り組む姿勢により決断が変わる事があるでしょう。しかし日々努力し、自ら動くスタッフであれば、売り上げに直結しなかったとしてもそのセミナーにいくべき。会社として投資すべき案件です。
このように「最期にいい人生だったと思える決断を」という軸で物事を決断していく事により、間違ったとしても後悔のない決断ができ、これを繰り返していく事により「文化」が形成されていくのではないかと考えています。
最期にいい人生だったと思えるには
最期に良い人生だったと思えるためにはどうすればいいか。もう一段深掘りした所を紹介させていただきます。
自分の事を大切に
まずは自分の事を大事にする事。最重要なポイントはここにあります。決して自己中に生きろと言っているわけではありません。心身ともに自分のことを大事にするとはどういうことか。
周りの人を大切に
自分以外の大切な人のために出来る事をする。仕事の同僚や関係者。プライベートでの友人。そして家族。周りの人の幸せにつながる事を全力でし、周りの幸せが自分の幸せだと。このような価値観を持って生きることも自分の事を大切に生きる。という事だと位置付けています。
自分の価値を下げる事はしない
今、社会問題になっている誹謗中傷。自分の名前は伏せ、匿名で攻撃する。これらは、自分の価値を極端に下げる行動であり、自分の事を大事にできていない最も最たる例です。先ほどの独立を妨害する経営者も同じ、陰で人の悪口を言う人も同じ。結果として魅力のない人間になり、人は離れ、寂しい人生になってしまいます。
まずは自分の健康と幸せを
最終的には人の幸せを自分の幸せという価値観に行き着く事が大切だと間げていますが、そのためにはまず自分の健康を守り、自分が満たされる必要があります。満たされるための手段、方法は、奪ったり妨害したりという選択はしてはいけませんが、自分を不幸にして人を満たす。というのも少し違う気がします。自分を削りながらも人のためになる事をするのが幸せだという領域もありますが、それは人生の最期の段階で踏み入る事ができれば良い領域で、まずは自分の事に目を向け決断することも重要です。
大切な人との時間を大切に
あの人にもっとあっておけば良かった。もっとたくさん時間を共有しておけば良かったとこのような後悔をする方が少なくないそうです。誰とどんな時間をどれくらい一緒に過ごせるのか。非常に重要な軸であると考えています。
家族との時間
おじいちゃん、おばあちゃん、両親。年に何回あっているでしょうか?
もし年に一回1日しか会えていないとしたら、あと残り何日一緒に過ごせるのか?こんな事を考えた事はあるでしょうか?もしそれが十分ではないとしたら、その時間は意識的に確保するべきです。
結婚してお子様がいる家庭であれば、子供の成長を見る喜びや、育児、家事の大変さを共有する事も重要です。美容業界では長時間勤務が問題になっていますが、帰ったらもう家族全員寝ている。朝もほとんど会わずに出社、休みもサロンワーク以外の仕事に忙殺されている。これも個人や家族間での価値観による所ですが、最期にどう感じるか。という軸で考えると寂しい気がします。
また出産や最期を迎える瞬間。私自身、2度の出産に立ち会わせていただきました。祖父母が亡くなる瞬間にも横にいる事ができました。様々な感情が溢れてくる貴重な時間でしたし、どちらの場面でもその場に入れて良かったと心から思っています。このような瞬間は是非とも全ての方に大切にしていただきたいと考えています。
大切な人の一生に一回しかない時間
例えば大切な友人の結婚式。基本的には一生に一回の大切なイベントです。美容業では土日はたくさんのお客様がご来店されますが、こんな大切な日は仕事をしている場合ではありません。お客様も大事な友人の結婚式があるとなればご理解いただけるのではないでしょうか?
また子供の運動会なども、その年齢での運動会は一回しかありません。家族で成長を目の当たりにできる非常に貴重な時間です。去年と比べてどれだけ成長したのか、何ができるようになったのか。またうまくできず悔しい瞬間があるかも知れません。このような感情を共有するのは人生においてかけがえのない事ではないかと考えています。
プライベートの何気ない時間
友人とのランチ、買い物。こんな何気ない時間も重要かもしれません。大きなイベントでなくとも、大切な友人と一緒に過ごす時間。最近会ったことや、趣味の話をしたり、こういう時間も大切です。
また、趣味や旅行に行く。このような体験も、人生を豊かにする上で非常に重要で、仕事だけしていれば良いのかというとそうではありません。いろんなところに行って、いろんな体験をする。今しかできない事は今やらねばなりません。こういった様々な経験が人としての深みを作り、充実した毎日の源になり、仕事にも生きてくるのではないでしょうか。
大切な人との大切な時間は人それぞれ
大切な人と過ごす時間は重要だという事に反対される方はいないと思いますが、どの時間が大切なのか。というのは人それぞれです。例に挙げてきたのは私自身の価値観が強く出ている所だと思いますし、他の時間が最も重要だと考える方もいらっしゃいます。
それぞれの「大切な人との時間」を大切にしてもらうためにあるのが弊社の「完全自由シフト」です。このように全ての仕組み、施策も根っこの部分につながり構成されているわけです。
CLUTCH ベイシックツリー
弊社では、理念、使命といった言葉は使わず、ベイシックツリーという形に表現しています。木の根っこが「人生の最期に良かったと思える決断を」幹にあたるのが、「自分の事を大切に」「大切な人との時間を大切に」。
葉っぱの部分には「人の話をするときは本人の前で言える事だけ」このような行動指針に当たるような部分が表現されています。
言葉に固執する必要はなく、価値観や基準が明確で伝えたい事が伝わりやすい形で表現するのが良いのでは?と考えています。
美容室経営に理念、 ビジョン、 使命は必要か?
起業してから6年間ほど、理念や使命は必要ない。と考えてきました。しかし、昨年あるきっかけが重なり、やはり「必要」だという結論に至りました。
しかしながら、企業のフェーズや人数により「対象、範囲」が変わるのではないか。という仮説を持っています。
何もない状態から◯まるを通じて世界を平和に。のような大きな視野での理念、使命を掲げてもスタッフはまず自分の今と将来を守ってくれよ。となります。まずは近くの狭い範囲を対象にどういう考えでどうするのか。を明示していく事が重要かと考えます。
創業時
創業時に立派なビジョンも使命も理念も必要ありません。これは今も考えは変わりません。このような事を考える時間があれば、手を動かし、行動する方が大切です。また何を大切にするべきか。何を目指すべきかも。実際やって見てからの方が明確になります。
第一段階
対スタッフに向けてのビジョンを打ち出す。
創業時のドタバタ期間を抜け、軌道に乗り始めたらまず最初に、一番身近な「スタッフ」に対して、今をどう守るか、将来をどう作るのか。ビジョンを明確に打ち出す事が先決です。
第二段階
スタッフに対して提供できるものが形になってきて、文化形成が始まってきたら次に「お客様、関係者の皆さま」に向けてのビジョンや理念、そして会社として果たしていく使命等を打ち出していく段階になります。この頃になると、企業として、経営者として何を大切にしたいのかも明確になり、形だけの経営理念ではなく、気持ちの入ったものが作れるのではないでしょうか。
第三段階
ここまできてようやく、サービスや技術を通じて世界や社会にごう貢献していくのか。という視野、視点に入ってきます。多くの企業様で、この三段階目のものを先に作り、第2、第1段階のフェーズに必要なものが抜けておりでただ飾られているだけのスローガンになってしまっているケースも少なくありません。
もちろん使命感からスタートする事業もありま寿司、志あり気でのスタートも当然あります。第三段階のフェースの広い使命、理念を掲げることは決して悪いことではなく、第1、第2フェーズに必要なものもセットで構築してくのがベストかと考えます。
まとめ
弊社ではベイシックツリーという物に表現して、理念、使命、ビジョンに当たるものを表現しています。根本にある考え方は「最期に良い人生だったと思える決断」これを形にしたものの総称が港型経営です。港型経営については「自由シフト」が一人走りしている所もありますが、シフトは一部の取り組みにすぎません。今後細部に渡ってご紹介できる記事を書いていきたいなと考えております。