美容師開業のメリットとデメリット|美容師は独立するべきか|美容室経営

今日のテーマは、美容師が開業するメリットとデメリットについてお話しします。現在の美容師さんの選択肢は開業が全てではなくなってきており、会社に残って様々な役割を担う選択肢も増えています。また、会社と協力して自分の店を持つ「社内独立」のような形も増えていくと予測されます。将来を考えた時、美容師として開業すべきか、独立すべきかについて悩んでいる方も多いと思いますので、私自身の開業して7年の経験から感覚やリアルな一面を切り取って解説していきます。

美容師が開業するメリット

収入面

まずは、美容師が開業するメリットについてお話ししたいと思います。特に収入面が皆さんの気になる点だと思いますが、開業することによって収入の可能性は高まります。

1人で美容室を開業する方が最も多いのですが、この場合、ある程度の売上がなければ、雇用されていた時の方が収入が良かったというケースもあります。月の売上が50万円程度だと、雇用されている方が良確実に収入は高くなりますし、売上が100万円程であれば、シェアサロンを利用するかフリーランスとして開業する方が収入が良くなる可能性があります。

1人で営業しても、月に120万円や130万円をコンスタントに上げることが可能ですし、150万円程度あればかなりの収入になると言えるでしょう。固定費を抑え、高い家賃の場所を避け、新規客の獲得に依存せずにこれくらいの売上を上げることができれば、1人で年間約1000万円の収入を得ることも不可能ではありません。

収入が全てではないと私自身もそう思いますし、独立する目的は一概には言えませんが、1人で営業する限り、売上に応じて得られる収入が多くなる場合もあれば少なくなる場合もあります。

スタッフを雇用する場合で考えると、自分が売上を上げている状況であれば、1店舗で700万円程度の売上を作れたら、1000万円を目指すことも可能です。ここで難しいのは、その収入を自分で取るか、会社に残して投資に回すかという判断です。この選択によって自分の収入がどれだけ変わるかは大きく異なります。収入面だけでメリットやデメリットを判断するのは難しいですが、可能性があることは間違いありません。

自由度

開業しオーナーになれば、多くの面で自由に事業を運営できるというのが大きなメリットです。働き方、メニューの展開、使用する材料の選択まで、すべて自分の判断で決められる点は、美容師にとって非常に重要な利点でしょう。

特に、1人で開業する場合、自分の意志だけで全てを決定できるため、この自由度は大きなメリットです。さらに、働く時間も自分で決めることができ、会社や企業の定めたルールに縛られることなく、自分の意思でサロンワークを行うことが可能です。このように自分のペースで働くことは、開業の際に感じる大きな違いであり、魅力の一つです。

サロンワーク以外の仕事や事業の運営も検討する事が出てくると思いますが、時間をどう分配するかも自由に調整できるという点が非常に良いメリットで、自分でスケジュールを管理し、様々な活動を組み合わせることが可能です。

ただし、売上が一定レベルに達していないと、サロンワークに専念する以外に選択肢がなくなる場合もあります。このように、開業して多角的に活動する自由度は高いですが、自分の力量に大きく依存します。

経験値

開業することで得られる最大のメリットの一つは、経験値です。特に、経験、スキル、ノウハウの面で、雇用されている時とは全く異なる角度から多くを学ぶことができます。

開業してみると、雇用されている時に得られる情報や見ている情報とは全く異なる領域に触れることになります。どれだけ準備をしても、実際に経営を始めてみないと得られないスキルやノウハウがあるため、インプットした情報を実際にアウトプットする機会がなければ、学んだことが実践的なスキルやノウハウとして定着しにくいです。

したがって、実際に開業してみることで、理論だけではなく実践的な知識としてのスキルが身につくというのは、非常に大きなメリットです。

経験値やスキルについては、うまくいくかどうかに関わらず、開業した方が経営に関するスキルやノウハウが圧倒的に身についていきます。開業しないと得られない経験がありますので、収入や自由度と同じように、人生を軸に考えた時に、この経験値は非常に大きな武器になると思います。

もし万が一、うまくいかなかったとしても、その経験値は奪われることがなく、その過程で得た人脈も失われることはありません。リスクについて言えば、自分でやっていける能力を身につけずに、会社に留まることがかえって大きなリスクになると考えています。

たとえパナソニックのような大企業に入社したとしても、一生安定してそこで働ける保証はありません。リストラや買収があるかもしれないし、何かの事情で会社が潰れる可能性も否定できません。もし外に出された時に、1人でやっていくスキルがないとどうなるか。

なので何かあっても一人でやっていけるノウハウや必要な経験値を得ておくことが大切です。自分で何かを始めることによって、万が一の時に役立つスキルやノウハウを身につけることができるので、この点は非常に大きなメリットと言えます。

美容師が開業するデメリット

メリットがある反面もちろんデメリットとなる部分も存在します。必ず知っておかなくてはならない点を紹介いたします。

不安定

開業する際のデメリットとして、不安定さが挙げられます。自分のお店を持って成功する保証はなく、その不確実性が大きなリスクとなる場合があります。

雇用されている状況と比較してみても、雇用が必ずしも安定を意味するわけではないものの、開業するとその不安定さは一層顕著になり得ます。

ただ、美容業界では、元々歩合給の方も多いので収入が不安定な方が多いため、あまり大きなデメリットと感じないかもしれません。この不安定さに対しての感覚は個々の状況により異なるため、一概にすべての人にとって大きな問題とは限りません。

借金

開業において、借金をすることは一つの大きなデメリットと感じる方も少なくないでしょう。店舗を構える場合、資金調達のために借入れを行うことが一般的です。

借金には主に二つの形態があり、一つは個人保証を伴うパターン、もう一つは個人保証がないパターンです。個人保証がある場合、事業がうまくいかなくなり店を畳むことになっても、借金は個人に残ります。一方、個人保証がなければ、事業が失敗しても個人に乗ってこないケースもあります。

借金のリスクについては考え方、感じ方次第なのですが、最初に借りる金額が比較的小さい(例えば1000万円や2000万円)、それは家を購入するよりは安いものであり、一生懸命働けば返済不可能な金額ではないとも考えられます。

事業を拡大していく中でさらに大きな借入れをすると、個人では返済が困難なレベルに達してきます。この場合、借入額が1億でも10億でも返済不能に陥ると自己破産するしかない。考え方によっては金額が一定以上増えていってもリスクは同じですし、もし失敗しても日本では命まで取られることはありません・

独立には借金を背負うリスクを上回るほどのメリットが経験値の獲得があり、自己破産するリスクと同じく、経験から得られる学びやスキルはその後の人生において計り知れない価値を持つため、これを取りに行く価値があると見ることも可能です。

責任

開業に伴うもう一つの大きなデメリットは、責任の重さです。自分で決断を下すトップとして、その決断に対する全ての責任が自分に帰ってきます。

たとえば、スタッフがお客様とトラブルを起こし、それが裁判に発展した場合も、最終的にはトップの責任とされます。また、家族に対する責任も重大です。自分が倒れたり、収入を失ったりするわけにはいかず、これらの状況を自分で何とかしなければならないため、大きなプレッシャーを感じることになります。

それは個々の価値観や耐性によって異なりますので、自身がどれだけの責任を受け入れられるかによって開業が向いているか不向きか。この辺りも変わってきます。

一人の場合と雇用する場合

開業におけるメリットとデメリットは、一人で運営するか、スタッフを雇用するかによって大きく変わります。

まず、自由度に関してですが、1人で運営する場合は完全に自由にビジネスを進めることができます。自分の意志だけで全ての決断ができ、サロンの方向性も自由に決められるため、自分のビジョンに沿ったサロン作りが可能です。

一方で、スタッフを雇用する場合は、その自由度に制限が出てきます。自分一人の判断では決められないことが増え、スタッフからの意見や批判も考慮に入れなければならないため、全ての決断が自分の意志のみで進められるわけではありません。

また、サロンの特色や方針を打ち出す際にも、そのスタイルを支持する美容師がいなければ、求人に困るなどの問題が発生する可能性があります。

スタッフが2~3人程度の小規模ならばコミュニケーションが取りやすく、ある程度は自由度を保持できますが、5人、6人とチームが大きくなると、個々の意見やニーズを調整する必要が出てきて、自分のやりたい通りに進めることが難しくなります。

このように、スタッフを増やすほどに自由度は制限され、組織としての複雑性が増していくため、自分の意向だけでビジネスを進めることは難しくなる傾向があります。

安定感に関しても一人か雇用型かで大きく変わります。

一人の場合、自分が何らかの理由で働けなくなった場合、ビジネス自体が存続できなくなる可能性が高く、これが1人で事業を行う際の最も大きなリスクです。個人が倒れたら、事業も停止するため、収入源が途絶えることになります。

一方で、スタッフを雇用している場合には、自分に何かあったとしても、スタッフがお店を運営してくれるため、事業の継続が可能です。今現在、弊社ではもし私が事故に遭ってしまったとしても、スタッフがいれば、サロンは通常通り営業を続けることができ、給料の支払い業務もオフィススタッフが担ってくれていますので、事業の未来はスタッフ次第となりますが、即座に会社が潰れるということはありません。

したがって、1人で事業を運営する場合は、自分が動けなくなった時の対策として、収入を保障する方法をセットで考える必要はあります。

独立するべきか

美容室経営は厳しい状況

美容業界の経営は非常に厳しい状況にあります。これには、運営コストの増大が大きく影響しています。特に人件費、材料費、そして店舗の内装費用が急速に高騰しており、これらのコスト増加が利益を出しにくくしています。過去の動画やライブで述べてきた通り、これらのコストは今後もさらに上昇する見込みです。美容業界での経営を考える際には、これらの現実をしっかりと認識し、適切な対策を講じることが必要です。

全てがAIに切り替わることは当面ない

美容業界におけるAIの導入が進むとしても、全ての顧客がAIを採用したサロンでカットを受けるわけではありません。これは、美容師という職業が単に技術を提供するだけでなく、顧客とのコミュニケーションやヒアリングの技術を通じて、顧客の意図を理解し、それに合わせてカスタマイズする能力が求められるからです。

また、AIがある程度の技術を再現できたとしても、顧客が美容師を選ぶ理由は、その人を応援したい、その人が好きといった感情的な要素が大きく影響します。

実際に、カットの技術がそれほど高くなくても、人間性やコミュニケーション能力が高い美容師は顧客から支持され、成功しています。逆に技術が優れていても人間的な魅力がない美容師はなかなか売れません。これは美容師の仕事が単なる技術職を超えて、人間にしかできない要素が大きいからです。

したがって、美容室が無くなることはなく、今後も必要とされる場所であることは間違いありません。

夢はある

美容業界は、その道を選ぶことにより大きな可能性と夢を追求できる場であると言えます。たとえ学生時代に勉強に注力していなかったとしても、美容師として成功する道は開かれています。

美容師になることで、努力と情熱を持って取り組むことが、非常に高い収入を得ることや、大企業の役員やお医者さん匹敵するような収入を得て、それ以上の面白くて充実した仕事を手に入れる可能性もあります。

自分のサロンを持つことによって、より大きな自由と創造的な満足を追求でき、これが美容師としての魅力の一つです。そうした独自のキャリアを通じて、自分自身の生き方や価値観を反映させ、人生を楽しむこともできます。美容師という仕事は、夢がある選択肢であると断言できるでしょう。

選択肢は一つではない

今日の結論としては、独立が全てではないということをお伝えしたいと思います。美容業界でのキャリアにおいては、独立できる準備を必ずしておくことが重要です。しかし、それが必ずしも唯一の道ではありません。

会社に残るという選択肢も同時に持っておくことも同じくらいに重要です。会社内でステップアップできる状況を築き、自分の価値を高める選択肢もあり、それもまた有効な方法です。どのような状況になるか予測は難しい。そのためにも独立するための準備と会社に残る選択肢の両方を持つことが、将来の不確実性に対応するための最適な戦略となります。

まとめ

このように、美容師としてのキャリアには多様な選択肢があり、それぞれの道にはメリットとデメリットが存在します。独立の準備をすることは大切ですが、それに固執する必要はなく、状況に応じて柔軟に対応することが成功への鍵です。

プライベートや将来に対する考えは変化します。これからの時代どうなっていくか、その変化に対してさまざまな悩みも出てくるでしょう。

どんな状況になっても選択肢があれば、その時のベストな選択をしていく事ができますので、複数の道を選べるようにしておく必要があります。

今回の話を通じて、独立について深く考えるきっかけになればと思います。

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