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美容師が辞める理由。経営者は何を考えるべきか?|美容室経営開業

今日は、美容師が辞めてしまう理由と求人の関係性について話を深めたいと思います。美容業界の離職理由を把握し、その改善策を打ち出していくことは非常に重要なポイントです。自社の魅力を際立たせることは、「うちではこういうことをしていますよ」とアピールできるポイントを一つずつ作り上げ伝えていくことは、必殺技がなくても、求職者にとって非常に響くやり方です。

求職者は何かしらの理由で仕事を辞めていますから、その理由が新しい職場では解決されていることを求めています。つまり、求人媒体に掲載されているサロンから探すとしても、彼らが辞める理由となった問題がない会社を探し就職したいと思うはずで、改善されていることが明確な会社を選び応募する事は間違いありません。

この観点から、求人戦略を練る際には、自社の美容室がどのようにそれらの問題点を解決しているか、またはどのような魅力的な環境を提供しているかその情報を明確に伝えることが、非常に重要な決め手を持つことになります。経営者の方もこれから独立する方にも有益な情報になるのではないかと思いすのでぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

休み回数、勤務時間

美容師が辞める理由で、最初に思い浮かぶのはやっぱり働く時間と休みの回数です。この部分に関しては、かなり業界としても改善され、労働時間や休みの回数が適正化されつつあリますが、全体としては、まだ要因となっていることが多いのではないでしょうか。

まだまだ他業種に比べて勤務時間が長かったり、休みが少なく拘束時間がく過酷な環境のお店も見受けられます。この状況が、続けていく希望が見えなくなって、美容師さんがお店を辞めたり、美容師を辞めようかなと考え始める原因になってるのは間違いありません。

お店での出勤日だけじゃなくて、自主的という名の半強制的な研修やセミナーが組まれ、そういったものに参加しないといけない圧力があったりするわけです。タイムカードを切ってからの自由な時間が、実は名ばかりで強制的なレッスンやトレーニングが営業時間外に行われているケースもあるかもしれません。

昔は労働時間なんで気にしない。カットやカラー、パーマの技術がうなくなるなら、どれだけでも残って練習します。的な考えや文化があり、実際そのおかげでたくさんの事を学べたのも事実ですが、適正であったかどうかは疑問です。どれだけやりがいがあったとしても良くない決断に至るには十分です。

時間休みに対する対策

まず時間の問題に対して、法律に関する知識の重要性を考えていきたいです。美容室だからといって特別扱いされるわけではなく、法律に対しての理解は絶対に必要です。たとえば、残業についてですが、残業代を支払っていればいくらでも働かせていいと思っている方もいるかもしれません。しかし、法律はそんなに単純ではなくて、月に何時間以上は働かせてはいけないというルールがあったりします。

経営者やこれから開業を考えている方は、ものすごく専門的なところまでは必要ありませんが、まず法律についての基本的な知識を身につけるべきだと思います。

知らない間に法律違反をしてしまっていたというケースもありその状況は絶対に避けなくてはなりません。他業種と同じように適切な働く時間を法律に基づいて設定することが基本になります。

そして、無駄な時間の使い方にも注目すべきです。例えば、アシスタント期間でカップを持つ作業がありますが、これにもっと意味を持たせるか、またはモデルを読んで練習の時間に当てるなど他の有効な活動に置き換えることができるかもしれません。

ただし、サロンの特徴として3人体制で施術することが売りであれば、そのカップ持ちは意味があるでしょう。

美容学校で学ぶフィンガーウェーブのように、現場でほとんど使われない技術を学ぶのに時間を割くのではなく、現代の美容師に必要なスキルにフォーカスするべきです。過去のスタイルで使われていたニーズの少ない技術を無理に継続するのではなく、必要なカリキュラムの見直しを通じて、効率的に技術を習得し、労働時間や休みをしっかりとって、質の高い教育を行うことが大切です。

お金の問題

お給料についても、美容師が辞める重要な理由の一つです。最近は給与面での改善が進んできており、新卒で20万円を超えるケースも増えています。私の時代では13万円が平均で、15万円あれば良い方だったのが、地域の差はありますが、今では20万円からスタートするのが普通になっています。

業務委託制の導入により、スタイリストの還元率が40%や50%に達するお店も増えてきて、正社員を雇うサロンもそれに合わせて歩合率を見直しています。

たとえば弊社の場合、名古屋ではマンツーマンの正社員スタイリストが技術売上の40%を受け取る体制を整えています。他エリアではフリーで35%、指名だと45%の還元になっています。

一般的に、人件費率は「粗利」の60%が適正ラインとされており、これには交通費や社会保険の会社負担分も含まれます。

改善は進んでいるとは言え、一般的な年収の水準から大きく乖離しているケースも少なくありません。アシスタントとのチーム性の場合であれば、可能な人件費の中にアシスタント分が含まれるので、スタイリスト個人に売上の40%〜50%を渡す事は難しいので、この辺りはスタッフ側も理解しておく必要はありますが、しっかりとお伝えしなくてはならない部分でもあります。

もしこのラインをクリアするのが難しくければ、ビジネスモデルの根本から構築しやり直す必要があります。

給料体制に対する対策

求人活動を行う上で、この人件費率を理解し、適切なビジネスモデルを構築し、相場以上の給料体制を目指す事は経営者の責務です。ただ休みやお金の問題が解決されていても、それだけでは求人市場での優位性や差別化は難しいですが、これらが整っていないと、そもそもスタートラインに立てない状況です。従って、市場の相場に合わせ、できればそれを上回る給与体系を整えることが、求人活動をしていく上での最低条件と認識するべきかと考えます。

広告費用は適正か?

費用対効果は取れているのか。適切な広告費用を投下できているか。リピートに対する対策は適切かも検討する必要があります。

無駄な会議等はないか

会議やミーティング等にも人件費がかかっており、サロンワークや生産性のある業務の時間を削っています。内容を再検討し、集まる必要がなければ別の方法で、実施する際も、決定するのに必要な人数だけを集め、効率的に最低限の時間実施されるように改善するようおすすめします。

役員報酬は適切か

自分の役員報酬自体の見直しも必要です。今とるべきではない金額設定になっていないか。もしそれを改善する事で相場のお給料基準を満たせるなら真っ先に見直すべきポイントです。長い視点で見て、今とりすぎるデメリットも必ず考えなくてはなりません。この決定は簡単ではないと思いますが、まずこの部分に着手する事で、待遇改善について本気で対応していくという意思の表示にもなり得ます。

財務の知識

これらの対策を実施し、適切な財務状況を作り、適切な人件費比率になるモデルを構築するには、基本的な財務の知識は身につける必要があります。

人間関係の問題

人間関係の悩みは、美容師が辞めるもうひとつの大きな理由です。当たり前の考え方が違いすぎると、どんなに話し合ってもお互いに理解しあうのが難しくなります。

昔ながらのコミュニケーションを取る店長や上司がいたり、師弟関係のような人間関係を強いたりする先輩がいると、今の世代の方には大きなストレスで、精神的に辛い状況です。それが原因で体調を崩してしまう人も少なくありません。

多くの人が、特定の人との関係で悩んで退職することは少なくありません。しかし、退職を決める側にも問題があることもあります。人間関係は双方の歩み寄りが重要で、相手の考えや価値観を理解しよう。と、自分も変わっていかなくてはいけないと考えるべきではあります。

人間関係の問題に対する対策

人間関係のトラブルを避けるためには、採用の時点での人選が重要です。当たり前の感覚が全く異なる価値観を持つ人を採用すると、トラブルが発生しやすくなり良好な関係は築きにくい。毎日会う人と理解し合えない、話を聞いてもらえない。としたらつらい時間になりますし、他の部分が満足だったとしても充実した生活とは言えなくなってしまいます。

例えば、自分の稼ぎが良ければ迷惑かけようがなんでもいいと、自己中心的な考えを持つ人と、お客の幸せを最優先に考える美容師では、属性が大きく異なります。そういった属性が真逆の人が同じ空間にいると、理解し合うのは大変ですし、どちらかが不快感を持ち、不満につながります。

一方で、似たタイプの人を配置すると、気持ちが理解しやすくなり、人間関係のトラブルは減少し人間関係はスムーズに構築されるようになります。しかし、全員が似ているというのも必ずしも良いわけではなく、適度な波がある組織の方が健全に成長するといったメリットがあります。そのため、属性が似た人を一定数配置し、少し異なるタイプの人を加えるなど、バランスを考える必要はあります。

どれだけ売り上げがあろうとも、自社のスタッフと相性が悪いと判断した場合は、採用を見送る勇気を持つことも大切です。人間関係の問題を未然に防ぐことは、長期的に見てスタッフの満足度や離職率に大きく影響するため、面接時には慎重な人選が求められます。短期的な売り上げを優先して大切なスタッフと合わず離職が起きた。となれば後悔してもしきれません。

客層の不一致

お客様の層が違うことも、美容師が辞める理由の一つとしてよく聞かれます。たとえば、自分はハイトーンやブリーチなどの特定の技術を身につけたいと思っているのに、現在のサロンにはそのようなメニューを求めるお客様が少なく理想とは程遠いというケースです。

これに対して、美容師自身が積極的にお客様を獲得する努力をすべきだという意見もありますが、サロン側としてもサポートする方法はあります。

客層の不一致の問題に対する対策

サロン側からは、例えば個人のホームページを作成したり、個人Instagramに広告費をかけるなど、個人の広告運用を企業として支援する手段が考えられます。

スタッフが特定の分野に力を入れたいと考える場合、サロンとしては、ホットペッパーなどの共通プラットフォームで実現するのは現実的ではないため、個人が特化した技術を前面に出すための個別の媒体やプロモーションを会社としてサポートを準備することが一つの解決策です。

Instagramが成長してきたら、広告を使ってさらにその人の集客をサポートするなど、個別にカスタマイズされたアプローチを取ることも組織として出来ることで持っておくべき手段です。

成長の機会

学ぶことがなくなったら離職するというのも、美容師が離職を決める理由にあるはずです。サロンワークだけの日々が続くと、成長が感じられなくなり、自分のキャリアに疑問を持つようになるのは自然なことだと思います。特に、スタイリストデビュー後に次の挑戦が見えない場合、その停滞感はさらに強くなり夢がなくなってしまうという現状はあるのではないでしょうか。

学ぶ機会の問題に対する対策

美容師にとって新しく興味のある分野のノウハウを学びたい、もっとうまくなりたい。といったニーズは大きいのではないでしょうか?

アシスタントからスタイリストになるまでのカリキュラムは多くのサロンで整っていますが、スタイリストから次のレベルへのステップアップや新たに挑戦できる分野が明確でないことも問題です。

技術的な成長だけでなく、マネジメントスキルの向上や、美容師以外の経験ができる可能性を探る機会も提供することが大切です。

常にスキルアップしていきたい!という挑戦意欲の高い美容師にとって、学びや成長の機会が途切れることは離職への道を加速させるかもしれません。だからこそ、どのステージにいても次に進めるステップが用意されている体制を整えることは、サロン経営において非常に重要です。

スタッフが自己実現できる環境を提供することで、離職率を低下させ、スタッフの長期的なキャリアをサポートすることが可能になります。

将来提示

将来の不安も美容師が辞める理由の一つです。特定の年齢に達したとき、多くの人が「このままでいいのか?」「将来はどうなるのか?」「先の希望が見えない」と考えます。美容師として働き続ける中で客数が減少するかもしれない不安、体力の衰えとそれに伴う収入の不安がモチベーションを下げ、転職や退職を考える大きな要因になります。不満という感情になる前の段階に「不安」があり、その積み重なりが前向きな気持ちを奪い、離職という決断に繋がるので、不安を感じる要因は一つずつ潰しておかなくてはなりません。

将来提示の問題に対する対策

将来に対する選択肢をできるだけ増やすことが重要だと考えています。

年齢に応じた広告戦略を立てることができるサロン、次のステップへの道を提供できるサロンがあると、美容師としてのキャリアを安心して続けることができます。

また、働き方の選択肢も重要です。フルタイム、パートタイム、3分の2の勤務など、ライフステージの条件に合わせて働き方を選べる環境を整えることが望ましいです。

女性の場合、結婚や出産などの人生の節目で働き方を変える必要が出てくることもあります。そんな時に自分に合った働き方に柔軟に変えられる選択肢を提供できると、長く安定して働いてもらえる可能性が高まります。

収入面も重要で、年齢を重ねて体力が落ちてきた時に、サロンワークだけではなく、他の収入源を持つことができる環境を提供するやり方もあります。

例えば、子どもが高校や大学に進学する年齢になる時期と体力の定価等でサロンワークの時間が短くなる時期が重なればかなりきつい状況になります。

そういった状況では、サロンワーク以外の収入も得られるようなサポートも重要になってきます。

経営者としては、こうしたスタッフのライフステージに合わせた支援策を考え、実行することが、スタッフが長く活躍し続けてもらえるための重要な要素となります。

まとめ

今回は離職の要因の例をいくつか挙げ対策とセットで解説してきました。今後、基本的な条件面の提示だけでは選ばれる確率は低い。求人活動は思うように進まなくなっていきます。

そこでまず着手したいのが、離職要因の割り出しと対策をたて、それを発信していくことです。必殺技を持たなくても適切に問題を把握、改善された環境を作り、届ける手段を持てば、求人市場での差別化になり、うまく循環が生まれれば、自店のスタッフからの紹介にもつながるのではないでしょうか。

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