美容室経営において、お客様にご支持いただく事はもちろん最重要ではありますが、いかにスタッフを集めるか。と言う所が間違いなく鍵になっています。優秀なスタッフに選ばれ、長く勤めてくれる環境を持っている会社が繁栄し、そうでない企業が衰退する。
スタッフ獲得戦争が繰り広げられている訳ですが、その状況も刻々と変化しており、常に戦略も更新していかなくてはなりません。
今回のコラムを読んでいただければ、今何が起きて、今後どうしていかなくてはならないのか。求人戦略についての糸口が見えるのではないかと思います。
美容室求人市場の歴史
まずこの20年ほどでどんな変化が起きてきたのか。から解説いたします。
カリスマ時代
私が美容師になった約20年前、美容ブームの名残がまだ残っていて、就職先を探す際にお給料や労働時間等は全く気にせず、いわゆるブランドサロンやカリスマ美容師が在籍していて、雑誌等のメディアに出ているお店に人気が集まりました。
この頃は初任給10万ちょっと、1日15時間労働、休日ほぼなし。なんて環境であっても関係なく、美容師さんが集まってくる状況でした。
労務環境変革時代
カリスマ美容師、ブランドサロンに人気が集めって時期が終わり、次に人気を集めたのが、労務環境の整備に取り組んだ企業です。
お給料は新卒で20万を超え、労働時間は法律を遵守し、週休2日、有給あり。さらに社会保険や福利厚生も充実と。
労務+アルファ時代
つい最近まではこのフェーズでした。労務環境の整備に取り組んだ企業が増えてきて、お給料、歩合率も美容室経営のビジネスモデル内での限界値に達し、その他労務環境もこれ以上改善する所がなくなり、もはやや労務条件が整っている事は当たり前で、競争力になる所ではない。プラスアルファーあなたの会社の魅力は何ですか?と。
求人戦争新時代の到来
このような歴史を辿って着たわけですが、いよいよ新しいフェーズに移行しようとしています。労務条件も整い、独自の魅力を持った美容室が増え、もはやどこに行っても良い環境がある。(今の時点で労務整備が進んでいなかったり、独自の魅力を見出せていないお店は淘汰されてしまいます)
労働条件や環境、仕組みが差別化ポイントにはならなくなりつつあると言う事です。では次のフェーズでは何が争点になるのか。
ズバリ『人の魅力、企業としての生き様』です。
一周回ってカリスマ時代と同じような所が求められようになります。以前と違うのは労務条件も整っていて、独自の魅力もある。その上で、人の魅力や企業としての生き様が魅力になる形。今までのフェーズで必要だったもの全て持たなくてはいけなくなる。しかも、それらを求職者に届ける手段、発信力も持って。
とんでもない時代です。しかしできる事全て高いレベルでやり遂げる覚悟を持たなくてはこの先生き残る事は困難になります。
今後の具体的対策
このような超求人戦国時代に突入する訳ですが具体的にどのような整備、対策をしていくべきなのでしょうか?
労務整備
お給料、労働時間、休み、保険等の労務整備は土台となる部分です。お給料は地域相場の上位5%には入れるように、労働時間や、休み、保険は法令を遵守した形態に。就労規則や36協定等の整備も忘れてはいけません。まだこの整備が進んでいない場合、全ての業務をストップしてでも取り組むべきです。
労務条件以外の魅力作り
労務条件の整備は整っている前提でその他の魅力は何か?この辺りも具体的に提示する必要があります。弊社の場合は、学び成長の機会と将来提示。この2軸で構築していますが、美容師さんがなぜ離職するのか。その要因を書き出し、一つずつ改善するための仕組み環境を作っていくのもおススメです。
企業理念や使命の明確化と文化作り
人の魅力や企業の生き様にフォーカスされるようになると今まで以上に理念や文化が重要な位置付けになってきます。その考えた思想を浸透することにより文化になり、そこから企業としての生き様につながっていきます。
社長、トップの発信
共感から人が集まってくる構図になるのですが、どんな人がどんな考えで会社をやっているのか。発信しない事には知っていただく事ができません。規模やフェースにもよりますが、もはや代表の発信は必要不可欠。やらなければならない大切な仕事。発信しないのは、ワンレンを切れない状態でお客様のカットをしているようなものです。
スタッフのプロデュース
自社の環境や仕組みの元そんなスタッフが活躍しているのか。そのかたは企業の理念などを踏まえどのような考えで動いているのか。今現在スタッフの獲得に成功している美容室はトップだけでなく、影響力を持ち素晴らしい考えのもと活躍されているスタッフファンが必ずいらっしゃいます。この部分は弊社でも課題となっている所で2024年注力して動いている項目でもあります。
トップの人間力を磨く事
私自身の大きな課題でもあります。結局のところトップの思想や考えが仕組み環境になり、文化を形成しそれが生き様となって表現されます。トップ自身の価値観を磨き、人としての魅力を高めていかなければ何もうまくいきません。それっぽい事を発信してもハリボテはすぐに崩れます。今だからと言うわけではありませんが、まず自分自身を見つめ直す事が1番重要なのかもしれません。
まとめ
求人難で人口も美容師も減り、美容室経営自体が難しい世の中になっていますが、どんな困難な状況になったとしても今の所美容室がなくなる事はありません。つまり勝ち残る企業は必ずあり、その方法はあると言う事になります。悩むではなく行動を。やれる事を全てやり、それらを高いレベルで継続する。基本的な所をきっちりやっていく他ありません。弊社も例外ではなく努力を怠ればすぐ退場です。今日一日を大切にやるべき事をやっていこうと思います。