美容師が一人サロンを開業するにはどんな資格が必要なのか。美容室をオープンするための準備の流れや項目もお伝えします。一人でサロンを経営する場合、スタッフを雇って運営する場合とは異なる点もあるのでうが、これらの違いについても詳細に解説していきます。一人サロン開業に向けての準備プロセス、独立に向け必要な手続きの内容や条件等のノウハウを紹介した記事になりますので、独立が決まっている方もまだ悩み中の方もぜひ最後までご覧ください。
一人で個人美容室を開業するのに必要な資格
一人サロンを開業するのに必要な資格は何か?美容師免許を持っていれば、個人でサロンを開業することは可能です。
しかし、将来的にスタッフを採用したい場合は、管理美容師の資格が必要になります。この資格は、難しい試験があるわけでもなく、比較的取得しやすいものの、数日間の授業のようなものがあり、前は正直聞いていなくても大丈夫がったのですが、最近は少し厳しくなりつつあるとのことです。取得の過程では、チェックリスト形式の簡単なテストがありますが、教科書を見ながらこの部分をつしてね。くらいのレベルです。
もし将来スタッフを雇用する可能性があるなら、管理美容師の資格は抽選で今は中々席が取れない状況で3回以上も抽選に漏れたという方もいるので、行けるタイミングで早めに取得しておくことをお勧めします。まず取っておくことによって、急にスタッフ雇用の機会がやってきた際にも対応できるようになり、将来の選択肢が広がります。一人のサロンを1店舗のみで運営し続けることに確信がある場合は必要ありませんが、気持ちや状況が変わる可能性も高いため、余裕があれば取得しておく事をおすすめします。
美容室開業までの流れ
エリア選定、物件選び
開業までの流れでは、まずエリア選定から。どの地域に出店するかを決定し、適切な物件を選ぶことがスタート地点となります。多くの方が融資を最初に考えがちですが、実際は物件選びから始まります。
スタッフを雇用する場合との違いは、その地域で美容師の求人ニーズがあるかどうかを考慮する必要がありますが、一人でサロンを運営するある場合は、お客様が来店しやすい環境かどうか一点を重視しすることになります。
競合の数、現在のお店からの距離、駅の利用者数、人口の増加などを調査し、市場調査を行って勝てる市場か集客できる市場かどうかを判断します。
1人でサロンを運営する場合、スタッフのニーズを考慮しなくてもよいことは大きなメリットとなり、求人の事は考えず、お客様を獲得しやすい市場を選ぶ視点だけで考えれば、日本全国にはまだまだ多くのチャンスがあると言えます。
物件取得
物件取得のプロセスでは、基本的に物件を見つけた後申し込みの話が進みます。場合によっては融資の確定前に物件の契約を求められることがありますが、特に人気の物件では契約をしないと押さえることが出来ないことが多いです。契約を結ぶということは、敷金、礼金、保証金などの費用を支払うことを意味し、不動産屋に対する仲介手数料の支払いも必要になります。
ここで問題となるのは、融資が確定する前に物件契約を結んでしまうと、融資が失敗した場合、支払った敷金、礼金、保証金および仲介手数料が戻ってこないリスクがある点です。この場合、独立が延期になるだけではなく、せっかく貯めた資金も失うことになってしまいますので、可能であれば仮契約で物件を抑え、融資の確定後に本契約を結ぶ方法を選ぶのが理想的な流れです。
内装の見積り
内装の見積もり取得は、開業資金の融資申し込みにおいて不可欠なステップです。厳密な見積もりでなくとも、内装費用が大体いくらかかるかの見積もりを出す必要があります。
美容室開業の場合、融資は主にこの二つに分類されます。一つは内装を含む設備資金で、内装費やシャンプー台などの機材購入費用に充てられます。もう一つの運転資金は、広告費やスタッフの給与など、設備以外の運営費用に使用されます。
設備資金を申し込む際には、内装や機材に必要な総額の見積もりを提出します。運転資金に関しては、計画書に基づいて必要な広告費用や運営費用を示し、その資金が何ヶ月分必要かを明確にします。
内装見積もりを先に取る必要があるのは、設備資金の申し込みを行う前に、具体的な開業費用の見積もりが必要だからです。
融資の申し込み
融資の申し込みが可能となるのは、物件の選定、内装の見積もり取得、事業計画書の準備が整った後です。この段階でようやく「お金を貸してください」と融資を申し込むことができます。申し込み時には事業計画書や見積もりを提出し、選定した物件でビジネスを行う事を伝えます。
融資のプロセスには面接が含まれるのですが、これは非常に重要です。この、事業計画書。専門家に依頼して作成のサポートを受けることを検討してみて下さい。
適切な融資額を確保するためには、事業計画が適切に構築されている必要があり、このケースの「適切」が実際の経営計画と差がある事もあり、非常に難しく、創業融資を借りた後、身につけておかなくてはならない知識でもありません。
例えば、安定した売上があり、初月か黒字の計画を提出すると、設備資金だけで十分と判断され運転資金が出ない可能性がありますが、運転資金の必要性を示すためには、計画書の書き方が重要になり、それ次第で借入できる金額が大きく変わります。
面接では、創業の動機やビジネスに対する理解を問われることがあります。そのため、事業計画の数値面は専門家に依頼し内応は必ず把握しておく、ビジョンや動機に関する部分は自分で作成し、説明できるように準備しておくことが重要です。融資の承認後、通常は約1ヶ月以内に融資が確定し、物件の本契約を結んで工事を開始する流れになります。
工事着工
工事期間は業者にもよりますが、だいたい3週間から1ヶ月ほどかかることが一般的です。打ち合わせ期間を含めると、開業準備には合計で約3ヶ月程度を目安に見ておいてください。
物件の契約が完了し、融資が下りるまでの間に平面図を作成し、シャンプー台の配置や内装のデザインなどを決定しておくことが重要です。これにより、融資が確定次第、すぐに工事を開始できる状態にしておきます。
物件契約後は家賃が発生するのが基本で、交渉によっては工事期間中の家賃が免除される「フリーレント」の対応をしてくれる場合はコストを抑えることができますが、基本的には家賃がかかるため、できるだけ早くオープンすることで無駄な家賃を抑え、少しでも負担を減らすことが重要です。工事期間とその費用管理は、開業準備の中でも特に注意を払いたいポイントです。
オープン準備、保健所の申請
工事の完了後、次は保健所への申請と検査の準備が基本的な流れとなります。保健所の対応は地域によって異なるため、平面図が完成した段階で事前に相談することが推奨されます。
この時、保健所の検査に必要な条件を確認しておくことが重要です。例えば、セット椅子などの設備が完全に揃っていなくても検査が可能な場合や、逆に全ての設備が揃っていないと検査が行えないといった場合があるため、どのような状態で検査を受けられるかを明確にしておく必要があります。
また、工事を開始する前に保健所に平面図を提出し、問題がないかを確認しておくとより安心です。美容室の開設経験がある業者に依頼していれば通常は問題ありませんが、稀に完成後に「これではダメ」と言われるケースもあるため、事前の確認が大切です。保健所の検査をスムーズに進めるためには、地域の保健所の要件を把握し、それに合わせた準備を行うことが必要です。
開業準備の注意点
不動産屋さんは一つに絞るな
開業準備における注意点として、不動産屋さんに関するアドバイスです。一つの不動産屋に絞らず、複数の不動産屋から情報を集めることが推奨です。その理由は、融資が下りるまでに時間がかかり、100%の確実性がないため、動いてくださる業者さんが少ないという理由があります。
多くの不動産屋に連絡することで、動いてくださる方に出会える確率が上がり、より多くの物件情報を得ることができ、良い物件を見つける可能性も高まります。
また、人気の物件はネット上に出る前に決まることが多いため、複数の不動産屋に情報を求めることで、これらの物件にアクセスするチャンスが増えます。
実は、ここには不動産屋さんの報酬の流れが起因していて、管理している不動産屋さんと借りてを紹介する不動産屋さん二つの役割があります。
契約が決まると、管理側はビルオーナーから、借りて側は入居者から仲介手数料をもらいます。
物件を管理している不動産屋が自分で借り手を見つけることができれば、両方から手数料を受けることになるので、絶対に決まる人気物件等は、情報を後悔する前に借り手を探す傾向にあります。
なので数多く当たればこのような神物件に出会う可能性も高くなっていくわけです。
内装をつくる際の注意点
内装を決める際の重要なポイントは、ターゲットとなる顧客層に合わせたデザインを選択することです。特にメンズの方気をつけてください。自分でデザインを考えるのは危険です。女性客をターゲットにする際は女性の意見を取り入れることが絶対条件です。
男性と女性では感覚が異なるため、女性のお客様をターゲットとする場合は女性目線でのデザインが求められます。これはホットペッパーなどのプラットフォームでのPV数にも関係し、結果として予約数に大きな差を生むことがありますので自分の感覚で自由に決めると後悔することになります。
内装に関しては、予算管理も重要です。初期投資として内装に多額の費用をかけすぎオープン時にほぼ資金がない。この状態でスタートするのはあまりにも危険です。
想定している通りに進まないのが開業。きてくださる思っている顧客様がどれくらいご来店いただけるかは不明確。まだ気づいていない経費もあるかもしれません。いきなり理想の内装を作ろうとせず、軌道に乗って売上が上がるのを待って、家具などの備品を増やしたり、追加で工事をしたりしながら少しずつ理想の形を目指すのが安全です。必ず余裕を持って資金を残した状態でオープンを迎えましょう。
また、平面図を作成する際には、導線と作業スペースを考慮して設計することが大切です。美容室経験のある内装屋さんであれば問題ないかとは思われますが、墨出しと言って、どこに壁を作るかといった線を引く作業があります、この作業の際に現場に言って実際イメージをしてみて、狭すぎないか、お客さまの通り道や作業する幅は確保できているか。必ず確認する事をオススメします。
もし塗装を使う場合で大きな面を塗るケースがあれば、サンプルと実際の仕上がりが異なることがあるため、塗装日には現場確認に行って下さい。その時に立ち会えば調整可能な事もありますが、全て塗ってしまった後にイメージと違うとなれば、色々と大変なことになってしまいますので。
発注、契約漏れに気をつけろ
発注や契約において特に重要なのは、インターネットとクレジットカードの契約です。これらは開業前なるべく早い段階で手続きを進める必要があります。
特にインターネット回線の工事には時間がかかることが多く、開店に必要なインフラ整備のためには早期に対応することが重要です。同様に、クレジットカード契約も審査期間を考慮して早めに申し込む必要があります。
実際、過去に忘れていたことがあり、間に合わない状態でオープンを迎えたことがあります。まさに地獄です。インターネットが利用できないと業務に支障をきたすだけでなく、ポケットWi-Fi等を用意して応急措置をしても、ビルでコンクリートの壁があったりするとほぼ役に立たず、環境によっては機能しないリスクがあるため、確実な通信環境を確保することが極めて重要です。
まとめ
一人サロンの経営は立地も提供するサービスもメニュー展開も単価設定も全てお客様のことだけを考え判断することができます。さらに毎月の従業員分の人件費の負担もなく固定費を抑えることができ、収入も安定しやすい。雇用するより廃業のリスクはかなり下がります。さまざまな選択肢の中で、美容師としての仕事や技術にこだわりたい方にとって、一つの理想の形と言えるのではないでしょうか。
自分がサロンに立てなくなった時のデメリットに対しての対策は必要ですが、選択肢の一つとして考えてみて下さい。
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