教育の考え方や仕組みは、会社の根本的な部分が反映され、文化を形成し、組織の成長に大きく影響します。今回はスタッフ教育、成長機会の提供等の仕組みを考える際の弊社の基本的な方針についてお伝えしたいと思います。
目次
- 考えの前提にあるもの
- 動機づけが9割
- 数を打つ事に注力
- アウトプットの機会
- まとめ
考え方の前提
「人は興味のある分野、得意な分野、もしくは問題意識のある分野以外の知識は身につかない」
基本方針の前提としてこのような考えがあります。ご自身の現状を分析してみてください。今現在、経営を支えてくれているノウハウやスキル。美容師として今使っているスキル。
多くの場合、自分が興味を持って学んだ分野ではないでしょうか?もしくは、問題がおき、その解決のため「必要」と感じて学んだ事ではないでしょうか?
独立前の会社や創業当時、幹部メンバーで集まって、一つの課題の勉強をする機会を作っていました。その日は納得感ありそうだ。ちゃんと落とし込めていそうだ。そのような感覚があっても次回、参加したスタッフに前回の内容を聞いてみても覚えていない。
こんな事も少なくありませんでした。
何故覚えていないのか。やる気がないのか?色々考え模索した結果、やる気がないのではなく、その分野に意識が向いていない。と言う結論に至りました。
動機付けが9割
自分自身とスタッフを分析してみて、まず経営者としての自分とスタッフでは持っている情報と問題意識にズレがある事。学びたいと言う動機に問題を解決したい。といった所は大きな要素になるのですが、情報にズレがあり、経営者自身が問題と考えている所が伝わっておらず、必要性を感じていない。上手くいかない理由の一つがこれです。
そして、人は自分の興味があったり、得意な分野は頑張ろうとせずとも頭に入ってきます。趣味の事や好きなアーティストの情報であれば、覚えようとしてないのにちゃんと頭に入るのと同じ状況です。
教育カリキュラムを考える立場の方は、自分の情報を持って問題と捉えている分野や、自分が得意な分野を落とし込みがちですが、問題についての共通認識を持つためにどの情報を伝達するべきか、スタッフ個人個人の得意分野、好きな分野は何か。把握してカリキュラムを考えなければ、時間だけが過ぎ何も変わらない無駄な時間になってしまう恐れがあります。
数を打ちまくる
現実レベルで考えて、何に興味を持っているのかを正確に全員分把握する事は不可能に近い。さらに問題の共通認識を持つための情報も、開示した所で狙い通りの捉え方をしてくれるかは分からない。
なので『動機づけとなるきっかけ』の数を打ちまくる事に注力するべきではないかと考えています。
あらゆるジャンルの学ぶ機会と情報を提示。その数を増やす事によって、どこかのタイミングでスタッフの興味や問題意識に引っかかる確率を上げていく事。1ヶ月に一つずつ提示していくよりも10個提示した方が単純にヒット数は上がります。
やらない人のケツを叩きにいくのではなく、きっかけを準備提示することに責任を持ち、興味を持って動き出した人にさらに次のステップを提示していく。実際、スタッフの覚醒が起きており、このやり方が今はしっくりきています。
アウトプットの機会を
興味関心があり学んだとしてもそのノウハウを使う場面がなければ身につきません。インプットの時間よりもアウトプット。学んだ事を実践できる機会が必要です。技術に関しては、どの技術を採用するかの決定権がスタッフ本人にありますのでサロンワーク内でアウトプットの機会を設けることが可能ですが、マネジメントに関しては役職や裁量がなければその機会を自分の決定で作ることはできません。
本業の中で経験のない方にお任せできる事は限られて来てしまうので、弊社では小さなプロジェクトを組んでその中でアウトプットする機会を作っています。
例えば、先日サステナブルブランドを立ち上げたのですが、出店の準備をお任せしたり、SDGS、CSR等の活動を調査しチームで話し合い決断する。そんな機会を作ってみました。失敗したとしても修正可能で大きな損失のない分野からスタートして、ノウハウを使う場面、問題にブチ当たる機会、そして決断する経験を積み、少しずつプロジェクトの規模を大きくしたり、重要度のあるものに挑戦していくといった流れで組んでいます。
まとめ
教育のお話しをしてきましたが、実は『教育』という言葉がしっくりきていません。スタッフが伸びていくのを見て感じるのは、教えて育っていくといった感覚ではなく、自分で学び成長していった。そんな感覚。自分が育てたと思えるケースは一つもありません。
今後変わっていくかもしれませんが、今の所今日お伝えしたように、『きっかけ』の数を打ちまくる事に注力していきたいと思います。そのためにも自分自身が挑戦を重ね、経験を積み、多くの可能性を提示できるように努力していく所存です。